2025.03.07 お知らせ

論文投稿のお知らせ:PPRタンパク質によるRNA塩基編集メカニズムをまたひとつ解明しました

当社は、独自のRNA編集技術「PPRプラットフォーム技術」を用いたRNAにおける一塩基編集について、PPRタンパク質による塩基編集の方向づけ(U-to-C、C-to-U)の決定に重要な影響を持つアミノ酸を特定し、PPRタンパク質による塩基編集メカニズムをまたひとつ解明しました。今回の成果は九州大学との共同研究に基づくもので、2025年2月21日に学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。

RNAにおける一塩基置換技術は、ゲノム(DNA)ではなくRNA上の特定の1塩基を他の塩基に書き換える技術で、ゲノム編集に続く新たな塩基編集技術として注目されています。
当社では、従来よりPPRタンパク質を用いてRNA上のC塩基をU塩基に(C-to-U)、またU塩基をC塩基に(U-to-C)編集する技術の開発を進めてきましたが、どのように塩基編集の方向づけ(U-to-C、C-to-U)が決定されているかのメカニズムが十分に解明できておらず、創薬事業への応用に向けた課題となっていました。

本論文では、当社の開発したRNA編集PPRタンパク質に対し特定の位置のアミノ酸配列を変更することで様々な変異体を作製し、それらの解析から、特定のアミノ酸配列を変更することで塩基編集の方向をU-to-CおよびC-to-Uに操作できることを発見しました。さらに、RNA上の予期しない位置での塩基配列の編集(オフターゲット)を引き起こす変異体を同定し、PPRタンパク質による正確な塩基編集のメカニズムの一端を解明しました。

本研究で得られた、PPRタンパク質上のアミノ酸が塩基編集メカニズムにおいて果たす役割や重要度に関する知見を活用して、標的とするRNA塩基の編集活性の向上やオフターゲット活性の低減など、PPRプラットフォーム技術の更なる開発・改良を進め、新たな医薬品の創出に向けた研究開発活動を推進してまいります。

論文情報
Ichinose, M. et al. Fine-tuning of the PPR protein directs the RNA editing activity toward C-to-U or U-to-C conversion. Sci Rep 15, 6288 (2025).

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